二月十七日  「額装」

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佐々木マキさんが表紙を担当された
「おとうさんがいっぱい」という本を子供の頃に読んでいて、今でもよく覚えている。
不可思議な世界に、佐々木マキさんのイラストが抜群の相乗効果をもたらしており、ひとつの物語が完成されていた。

さて、では「スティルライフ」のアルバムジャケットをどうするか。

これまでアルバムジャケットは、ほとんどの作品で幸いにもイメージ通りに作らせて頂いてきた。
「grace」も「twilight」もその他の作品も、出来るだけ細かくリクエストして完成してきた。
「MELODICA」というアルバムだけは、Nujabesさんのレーベルカラーに合わせて、お任せして制作して頂いた。

今回は自主レーベルなので、より自由に制作が出来る。
スティルライフの中でポラロイド写真も撮り溜めてある。
屋根裏部屋から見つけた祖父の静物画もある。
物語のある素材をどんなデザインにするべきか。

近年の僕のデザインを担当してくれている、suzuki takahisaさんに会いに、和歌山から名古屋へ向かう。
彼はARTS & SCIENCEなどを手掛ける素晴らしいデザイナーであり、清水寺プロジェクトも、京都・和久傳さんも、牛窓・御茶屋跡さんも、全て彼が手掛けてくれた仕事だ。
この「スティルライフ・制作日誌」も毎日、彼に文章と写真を渡して、更新してくれている。
日々、出来上がった曲も送ると、すぐに返答をくれる。
これまで共にスティルライフを作ってきた。
佳境の時も、勇気づけられ、励まされた。
ここからは、いよいよ彼との作業が始まる。
音のミックスでは玄の出番であり、これまでせっせと部屋から音を送り続けていた相手との、チームの皆との仕事が始まっていく。このアルバムはこれまでのアルバムの中でも、「額装」が非常に大切な意味を持つことになりそうだ。
まずはpapparayrayの店主リエさんに、「スティルライフ」の文字を書いてもらう。唯一ピアノソロを演奏していた場所。スティルライフの半分を生んでくれた場所。リエさんの書くオーダーの手書き文字が美しい。
どんな額装になるのか、楽しみだ。

 
suzuki takahisa