二月七日   「キャンパスに絵を描くように」

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晴れが続く二月。
今日は太陽の下、川沿いを自転車で走り、帰りにカフェでコーヒーをボトルに淹れてもらう。
家の近所で工事が始まり、日中の録音が出来なかったので、こうした気分転換も必要だ。
夕方には録音を開始。
「予告灯」を録り終える。

このアルバム作りはスティルライフ=静物画の名の通り、画家が絵を描く工程と似ているかもしれない。
端的に言葉にすると、

1.
まず思い描いたイメージのスケッチをたくさん描き、イーゼルに置いた真っ白なキャンパスを見据えてイメージする。
これは旅の中で録音していたスケッチのメロディたち。

2.
キャンパスに構図を下書きをする。
これは構成をある程度決める為のデモ録音。

3.
下書きを終えたら必要な絵の具を取り出し、パレットで色を作る。
これは楽曲に色をつけていく、アレンジメントに似ている。

4.
下書きの上に色を塗っていく。
いよいよ本番の録音テイクとなる。

5.
完成に近くなった絵を多角的に検討する。
これは録音した音をマイクの音量バランスなどを整えてミックスしていく作業。

6.
完成した絵を額装して飾る。
アルバムジャケットデザインを施し、完成となる。

そんな風に考えていたら、ある展覧会で画家のアトリエを再現している展示があり、それは、まさに思い描いていた光景だった。
ピアノソロアルバム録音を自宅でするという経験をしたことがなかったが、この孤独な作業は画家のそれに似ているのかも知れない。
スティルライフという名を付けた時には、予想していなかったことで、今ではこの名前に確かな必然性を感じている。


photo TKC

 
suzuki takahisa