一月十八日  「雨の日のために」

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東京は雨から雪へ。
こんな天気を待っていたであろう曲たちに向かい合う。
まずは「雨と休日」から頼まれていた、雨と休日のための曲を録音する。すでに作曲してあったが、雨の日を待っていたのだ。こんな日はどうしても「新しい朝」や光をテーマにした曲を録音するには相応しくない。その日の天候や空気に合った楽曲を録音出来ることも、日々の録音の積み重ねでアルバムを作っていく今回の制作スタイルならではの醍醐味でもある。

雨と休日の曲は店主寺田さんと、これまで何度かやり取りの上、テンポやタッチなどにも細かなリクエストがあった。それは今までにない新しい経験で、新鮮で面白かった。寺田さんも納得してくれたテイクが録音出来たので完了。ほっと一息。

それから、「雨の日のために」という、こちらはスティルライフ収録の曲を録音する。
この二曲は雨で繋がっているような曲。
やはり雨の日の空気がうまく作用して、完成した。
スティルライフの中でも大切な曲。

今回のミュート・ピアノ録音ではヘッドホンを使っていないので、例えば気になる部分を途中から再度、録音するなどという一般的な手法が取れない。全て一発録音になるので、どうしてもテイクは何度か録音することになる。
しかし今日の気温は一℃、レコーディング中は温風の音が入るので暖房をつけられない。手が冷えてしまう。
何度もお湯で温めて、テイクに臨む。

最後に「君のソネット」という、「Fly」と同じく、一度はスティルライフから外していた曲を録音してみる。
今のスティルライフに必要な気がしてきたのだ。
録音してみて良かった。なぜだか暖かな気持ちになる曲。
推敲した上で、本テイクを録音し、きっと収録することになるだろう。

静かな雪の一日。
外は寒いので、一日中部屋で録音し、リスニングを繰り返す。温かい風呂を沸かして、明日のためにゆっくりと眠る。
明日は晴れそうなので、また次の曲に取り掛かろう。


photo by TKC

 
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