一月十七日  「Fly」

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快晴。
起きたらまず、窓をあける。
冬の新鮮な空気に入れ替えて、花の水をとりかえる。
顔を洗い、歯を磨き、身支度をする。
いつものカフェでボトルにコーヒーを淹れてもらう。

アルバム制作中は、毎日を規則正しく過ごすことで、ある連続性が生まれ、それがやがてリズムを生む。
リズムが生まれれば、生活の中で毎日ピアノを録音するという非日常的な行為がやがて心地よくなり、無理なくレコーディングにスイッチを切り替える事が出来るようになる。
普段、旅ばかりで無軌道な生活を送っているだけに、この変化はとても楽しい。

今日は「Fly」という曲を録音。
この曲は一度ふるいにかけて、今回のアルバムには収録されない箱の中に眠っていた曲だが、段々とスティルライフが形になっていくに連れて、もう一度検討してみることにした。他には無いタイプの曲。
そして、「あくる日」のエンディングを推敲。
この一曲目から「新しい朝」への、今の流れが良い。
ミュート・ピアノという特殊な音色の「スティルライフ」に自然に入り込めるか、大事なドアだ。

明日から何日か、より深く篭るつもりなので今日は街へ出る。
冬の青山。
読みかけの長編小説の最終巻を買い、ARTS & SCIENCEで服などを選ぶ。帰りにいつものHADEN BOOKS:と花屋西別府商店で、友人の子供カナタに花と、果物屋で苺を買う。
移動中もずっとスティルライフを聴く。流れの中の淀みを洗い出したい。当たり前だけど、発表してしまえば何も出来ないのだから。

今夜は冷え込むらしい。
雪が降るかもしれない。
友人宅で暖かい鍋を食べて、早めに帰ろう。

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suzuki takahisa