一月十六日  新しい朝へのステップ

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近くのカフェでHummingbird coffee店主であり、音楽カメラマンのTKCと待ち合わせ。
ホットコーヒーをマイボトルに入れてもらい、彼はバナナスムージー。チーズのホットサンドを分け合う。
今日はTKCが録音風景を撮影してくれる。
以前、CDショップでバイヤーだった彼の貴重な視点も参考に、前半の曲たちを録音し直していく。

最初の四曲が物語への鍵となる。
「新しい朝」へ繋がるステップとなるような小曲を作ってみたり、今までの曲を推敲し、シンプルに削ぎ落としてみたり。彫刻が出来上がるように、少しずつ木が削られて、あるべき形が見えてきた気がする。落ちた木屑たちがアップライトピアノの下に積もっていくようだ。

「新しい朝」は、結局一周回って最初の、生まれた時のデモの構成に戻った。色々トライしたことに意味がある。
この期間にミュート・ピアノを録音する時の奏法のコツのよつなものを得たからだ。ミュート・ピアノ録音は普通のピアノ録音とは全く異なり、弾いた時に聞こえている音と録音の音では、こちらが想像し得ない音になるので、タッチの加減で音が大きく変わるのだ。偶発的、または突発的に不協和音が入ってしまうことも多い。

今回は初めてのソロアルバム。一人で部屋で淡々と、粛々と作業しているが、こうしてアルバムや曲に関して、信頼する何人かに試聴してもらい、彼らが同時進行でレスポンスをくれることで、チームで作っている感覚がある。

演奏している時は一人だけれど、一人ではない感覚。
新しい感覚。それが心地よい。

 
suzuki takahisa