二月五日   「予告灯」

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午後にレコーディングしながらピアノを弾いていると、晴れた日にはいつも窓辺から急に陽が射して、
演奏中に88の鍵盤全てを白く輝く時間がある。
光に包まれて、暖かで、なんとも言えない心地よさだ。
スティルライフを作っていて、最も気持ちの良い瞬間。
こんな時間がこの部屋にあることを、レコーディングをするまでは知らなかった。
光はいつも、何気ない日常の中に。

今日は新しいデモ曲たちを八曲、録音した。
まだミュートで弾いていなかったスケッチの曲たちをザクザクと録音していく。
即興的に新しい曲も生まれた。
全て並べて、多角的に考える時間が必要だ。
曲数はとても増えてきたが、最後にはシンプルな在るべき形に収めたい。
そして懲りずに「新しい朝」をさらっとワンテイク。
これはもはや日常になっている。
少しのタッチの差を聴き比べる。
その日の温度や湿度によってピアノの音色は変わる。
毎日淡々と、手を抜かずに作り続けることを大切にしたい。

夕方には、「予告灯」を録音。
同じメロディで転調を繰り返すこの曲は、まるで走馬灯のようだ。
今日は一日でたくさんの曲を録音した。
ゆっくりと風呂に入って、推敲の時間を。

 
suzuki takahisa