一月二十四日 「たしかな声」

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今日も日が暮れる。
美しい夕方。 昨日の録り終えた「君のソネット」で、前半の曲たちが完成した。後は細かな箇所を推敲する作業。
それは全曲を録音し終えて、全体像を掴んでからでも良いだろう。


ここからは物語の後半へ向けて、もう一度リスタートする。


後半は深く内省的な曲たちが待っている。
光の午後というより、日没後の淡く沈んでいく時間だ。
静寂と仄かな灯火。
まずは、現時点で選考から外している曲も含めてもう一度、ここまでの道程を歩んだ心持ちで新たに弾いてみることにした。

「風が通り過ぎていく季節」
この曲は本当は最も入れたかった曲だが、どうしてもミュート・ピアノに曲想が合わないのと、完全即興の曲だったこともあり、試してみたがDEMOの録音の鮮度を超えられなかった。残念なことにそのDEMOはキーボードのボイスメモだったのだ。だが、まだ試す価値はある。スティルライフに相応しい形に変化することがあるかもしれない。

「8番目のポートレイト」
「たしかな声」
どちらもpapparayrayで作曲した。 閉店後の夜の時間に、一人ピアノに向き合ったあの時間をよく覚えている。
これまでの作風には無かったタイプの曲。
二つの曲想は同じ物語の前編、後編のような曲たち。
アルバム全体のボリュームを考慮して、どちらかを外そうと考えていた。しかしそれぞれの曲をシンプルにすることで、両立が可能かも知れない。

一通り録音し終えて、全編を通して聴いてみる。
この三曲を全て入れると、二十曲で七十分間のアルバムになる。物語が長すぎるだろうか。
読後感の良い、何度も読み返したくなる短編小説集のようで在りたい。生活の中で、日々、そっと傍に存る作品となってほしい。
何度でも推敲を繰り返す。

 
suzuki takahisa